ヨーロッパ5ヶ国13都市*50日間の旅スケッチ vol.6 平泉成現る?
成田を発って16時間、やっとブリュッセルに着きました。
予定では19時着だったのが2時間ほど遅れて21時になっていました。
手続きを済ませリュックを受け取り、市内への鉄道の駅へ。
ホテルは予約していませんでした。着いた初日くらい予約すれば良かったのですが、実際に自分たちの目で確かめてと思ったのです。
今のようにネットで画像確認などできなかったので、、。
市内まで列車で1時間ほどなので着いたら夜の11時、果たしてうまくホテルに落ち着けるのか私はとても不安でした。
とりあえず電車に乗ってほっと一息。窓からはほとんど街の様子は見えません。
人もまばらでした。
トー子さんは暗い窓を見て「旅情だなー」とつぶやいたりして余裕です。
すると突然「平泉成」似の日本人の中年男性が私達の前に現れました。
「あなた達日本からきたの?」
「はい、そうです。」
「僕は今、ドイツから仕事で戻ってきたんだ。ブリュッセルに駐在してるんだよ」
「そうなんですか!」
身なりがキチっとしていて仕事ができる品の良いビジネスマンという感じでした。
おじさんは、ホテルは決まってるの?いいホテルを紹介してあげるよ、食事も良かったらご馳走してあげるよ若いと思い切りがいいなーと次々と話しかけてきました。
私は着いたばかりで不安だったので、親切な人だなと、お願いします!という感じだったのですが、トー子さんは今一つな表情です。
ブリュッセルに着いて駅から出て少し歩くと、街はお店などは閉まっていて雰囲気はとても暗い感じでした。
首都の駅なのに?と思いましたが、おじさんに案内してもらえて良かったと思いました。
結局そのおじさんに言われるまま1軒のビジネスホテルに決めて、チェックインを済ませるとレストランに案内されました。
シーフードのお店だったのですが、おじさんは次々に料理をオーダーしようとしました。
私たちはメニューを見てもわからず「あ、ほんの少しで大丈夫です」と言っても料理はテーブルいっぱいに並びました。私達にあまり聞かずに高そうな料理を頼んだので、そのあたりから少しそのおじさんのことが不思議に思えて来ました。
でもなぜ??
ムール貝やエビの料理とても美味しそう!でも喉を通らない、、。
長い飛行機で疲れていてあまり食欲がなかったのです。
すると突然トー子さんが言いました。
「あの、すみません。私たち明日早いのでもう失礼します!」
トー子さんは穏やかな人なのですが、しっかりしたヒトです。
言うことはきっぱり言う人です。
私は少し戸惑い、おじさんに少し申し訳ないなと思いつつ「時間も遅いのでスミマセン、、」と席を立ちました。
一瞬おじさんは驚いていましたが、そうだねと納得しすかさず明日の予定は?と聞きました。
後で考えれば不思議ですが、私は本当にに親切な人なんだなーとしか思わなかったのです。
呑気に「明日は美術館にいきます〜」と答えていました。
レストランを出てホテルに着くと、
「君達せっかくベルギーに来たんだから普通の一般の人の家に行ってみたくない?
僕の同僚の家族はとても親切で素敵な家なんだよ。明日、美術館から戻る頃に迎えに来てあげるよ」と言いました。
私は何も疑わず、一般家庭での交流も楽しそうかもと思いました。
でも、相変わらずトー子さんは乗り気じゃない様子。
じゃあ明日、ホテルに電話するからと、おじさんは去って行きました。
やれやれと部屋に着くとトー子さんが言いました。
「あの人、なんか不思議だよね。料理たくさん残しちゃったのは、悪いことしちゃったけど、、。」
「そうかな?普通に海外赴任の人なんじゃないかな」
「有無を言わせない感じ、押しが強い、、。
まあでも明日、電話はこないでしょ」
「うん、社交辞令かな?」
と、あまり深く考えず少し後ろめたく感じましたが、もう会うこともないだろうとその日はそのまま眠ってしまいました、、。